第45回 神戸ファッションコンテスト2018

ノッティンガムからの留学レポート【2012年度受賞 大野さん】

先日レポートをあげさせていただいた竹村さんと一緒にGraduate Fashion Weekでコレクションを発表された大野陽平さんからも、レポートをいただきました!大野さんは竹村さんと同様、KFC2012で受賞し、イギリスのノッティンガム校へ留学されました。今回のコレクションに対する姿勢はもちろん、現地の学生の様子や、イギリスと日本のファッションに対する考え方の違いも伝えてくださっています。

********************************************************

相方竹村の小学生みたいなレポート拝見しました。僕もうまく書けるか分かりませんがコレクションの説明や留学生活全体の感想などを書きます。

コレクションは”crack and light”というテーマです。「ひび」を通じて入ってくる、隙間から漏れ出す光のイメージをテキスタイルに落とし込み、それをなるべくシンプルな洋服で表現しました。一度、シンプリシティーなるものを自分でもやってみたいと思ったからです。またレーザーカットと樹脂接着を駆使して服を作る行程そのものも簡略化する、といった技術的な試みに力を入れました。スタイルは去年のコレクションを踏襲している部分が多いです。ロンドンのGFWでの反響はそんなに目立ったものではありませんでしたが、終わって少し経った今になってたまに興味を持ってくれた方からメールを頂いたりしていて、かなり励みになります。

留学生活についてですが、あまり作るのに時間のかからないコレクションだったので、その分たくさん旅行に行きました笑。ロンドンはもちろん、プラハ、ウィーン、パリ、ベルリン、アントワープ、アムステルダム、、(終わった今も旅行中ですが)一つ国境を越えるだけで街の雰囲気や生活や人々のスタイルが違っていて全てが刺激的です。日本で雑誌やネットでヨーロッパの最新ファッションをチェックするよりもずっと多くのものを、実際にこっちに来て体感することで得られたと思います。

あと驚いたことを一つ。ノッティンガムの学生は見た目はギャルみたいな女の子が多くて、最初は正直「この子達どんな服作るのかな」と少し小馬鹿にしていました。そして僕ら日本人が自分で作品をせっせと縫っている中、彼女達はテクニシャン(という縫製スタッフがいます)に作品を丸投げしてパーティーばっかりやっていてやっぱり小馬鹿にしていました。でも最後に仕上がった彼女達のコレクションは、見た目はギャルでも、作品はメインストリームをきちんと行っているという感じでした。自分が好きなコレクションもたくさんありました。

日本ではファッションと一口に言っても、ギャルとかロリータとかなんとかガールとかKawaiiとかいろいろありすぎて、本来メインストリームであるはずのものも「モード系」なんていうその中の1カテゴリーにしかなっていません。でもこっちの学生はその「モード系」に対してリスペクトがあるように思います。着ている服や街で売っている服は日本と同じく様々でも「ファッション」と言ったら答えは一つしかない、こうあるべき、みたいなものがしっかりあって、メインストリームに乗っかった上での最先端を目指すという意識が学生の内にも少なからずあるような印象を受けました。ただ好きなように好きなものを作ってるわけではありませんでした。

日本人がヨーロッパに留学するには金銭面や言語、VISAなど多くの障害があるように思いますが、それだけの価値はあると思います。僕ももうすぐVISAが切れる(というのに呑気に旅行なんかしている)ので多分延長できることもなく帰国しますが、またどんな形であれヨーロッパに戻ってくるつもりです。もしかしてですが、またKOBEに応募するかもしれません(二回目はダメですか?)。

思えばちょうど一年ほど前、思った以上に田舎だったノッティンガムの、お世辞にも快適とは言えないホームステイ先から、ほとんど中国の学生しかいない「インターナショナルスクール」に通い始めた時は、「本当にここで服が作れるのだろうか」と不安しかありませんでしたが、無事に全てやり遂げられたことは少しだけ誇りに思っています。ただコレクションについてのみ言及するなら、自分の全てを出し切ったとは言えないのでこれからもがんばって服作りと向き合いたいです。

********************************************************

留学の権利を最大限に生かし、海外生活を満喫していらっしゃる様子がダイレクトに伝わるレポートでした。全力を出し切った服作り、期待しています!

海外から日本を見、また日本人として海外を見ることで新しく気づくこともたくさんあると思います。そうした良い刺激がどのようにクリエーションに反映されるのか、考えるとわくわくしませんか?

昨日から第41回神戸ファッションコンテスト2014の受付を開始しております。くどいようですが締め切りは7月18日(金)必着です。海外で自分の能力を試してみたい方は、ぜひご応募ください。


PCサイトを見る

スマホサイトへ戻る